
ノビジェイロの恍惚と不安麺を出して考えたこと〜金澤流麺物語 第223回
ちょっと今日もらーめんへの考え方の変化など、最近考えたことを書いていきます。ほとんど独り言なので、興味のない方は即Uターンでお願いします。
金澤流麺らーめん南の南大祐です。
40代の男なんて傲慢なくらいでちょうどいいと考えてます。
丸くなるにはまだ早いでしょ。
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前回のブログで気まぐれらーめんへの考え方が変わった話を書きました。
そしてその中でこんならーめんをリリースしました。
ブログ第220回に詳しく書いているので、まだ未読の方は参照をお願いします。
このらーめんは第220回でも書いた通りに、僕が石川県で実質的にNo.1だと思っている金沢市玉鉾の【自家製麺のぼる】さんの名作『シャモ&コーチン』へのアンサーらーめんとして開発しました。
『シャモ&コーチン』が僕のらーめんから気付きを得た、と言ってくれていたので、それにそらにアンサーを被せるなんておかしいのかも知れませんが、このエピソードは本当に嬉しかったし、ますますのぼるさんを尊敬する様になりました。
僕がフェイスブックやブログで「のぼるさんの『シャモ&コーチン』へのアンサーらーめんです」と発言していたからなのか、それまでの気まぐれらーめんとは群を抜いた反応の良さでした。
開店1時間で用意していた全てが売り切れるなんて、僕も想像もしていませんでした。
どんならーめんかというと、一度完成させたスープにさらに牛肉と牛スジを加えて、牛の風味をより強くしたスープを作りました。
そしていつもスープに浮かべている脂にはネギの香りをつけていますが、今回は香りは敢えてつけませんでした。
『牛感』を目いっぱい感じて欲しかったからです。
そしてタレです。
金澤流麺らーめん南はタレにかなり重きを置いています。
タレを複雑に味を重ねて作り上げることで、らーめんの表情を右へ左へと変化させます。
しかし今回はシンプルかつストレートに牛のスープを楽しんでもらうために、タレは金沢大地の濃口と薄口のブレンドに昆布のみで旨味を足したシンプルなタレにしました(実際このタレを普段のらーめんのスープで割って飲むと、全く物足りない味になりました。ちなみに、いつも【濃醇金澤醤油らーめん】で使用しているタレ(金沢大地の濃口醤油に岡山県産の牡蠣煮干しを大量に加えた旨味の強い味)を、この気まぐれらーめん【ノビジェイロの恍惚と不安麺】のスープで割ると、旨味と旨味がケンカをしていったい何の味なのかさっぱりわからないtoo muchならーめんになり、全く美味しくありませんでした。らーめんって本当に面白いですね)。
スープを確立させて、タレはあくまでもシンプル。
これは一つのらーめんの理想のスタイルだと思います。
のぼるさんと同じく仲良くさせていただいている金沢市窪の【そらみち】さんは、目指す理想の味への追求と探究はものすごい物があります。
そらみちさんは、地鶏と水だけで煮出した極めて純粋で究極のシンプルさを追求したスープに、生揚げ醤油のみのシンプルなタレを合わせて究極の旨味を目指す、という『究極の引き算』を目指しています。
その追求への想いは半端ではなく、回りが「いやコレ、美味しいよ」と言っても「まだ納得出来ないんです」とさらに研究を重ねます。
僕は開業前に牛メインのスープで強い旨味が出なかったため、タレに重きをおく様にし、結果11月一杯まで金澤流麺らーめん南のメインの定番らーめんとして一番たくさん皆様に召し上がってもらった【淡麗金澤醤油らーめん】が生まれました。
「スープがダメならタレに力を入れよう」
というよく言えば柔軟、悪く言えばこだわりのなさ、それが僕の性質としてあります。
そらみちのオーナーの青山くんは元ボクサー。
ボクシングは格闘技の中でもとてもストイックなスポーツです。
ボクシングは腕でしか攻撃は認められていません。
そして攻撃を出来る箇所も上半身のみ、と限定された謂わばかなり特殊な格闘技です。
だからこそ、パンチとパンチへのディフェンスが異様に発達したスポーツです。
そらみちさんのスタイルは、まさにボクシング。
青山くん、神田くん、さーしちゃんの目指す高みは本当に純粋なのです。
僕は【ノビジェイロの恍惚と不安麺】を完成させた時、「本当に作りたかったのは、こういうらーめんなんじゃないのか?」という想いに駆られました。
そらみちさんの様にソリッドなまでに純粋ではありませんが、どこまでも牛の強さを追求しようとしたらーめん。
金澤流麺らーめん南の今までのらーめんの中で、1番ストレートでシンプルでストロングならーめんでした。
もし僕にそらみちさんの様なストイックさがあれば、開店からこの8ヶ月間は【ノビジェイロの恍惚と不安麺】の様な方向へと進んでぬいたのではないか?!と、ちょっとだけ自分のいい加減な性質を悩みました。
でも、ちょっとだけでした(笑)
【ノビジェイロの恍惚と不安麺】を作った事に寄って、親愛なるのぼるさんとそらみちさんの素晴らしい個性がハッキリとわかり、そして、じぶんの持ち味もわかってきました。
のぼるさんの持ち味はバランス感覚。
そらみちさんの持ち味は純粋なストイックさ。
僕は、まさに【カオス】。
なんでもあり、です。
自分でも意図しない所に着地して、その着地点からジャンプしてみたら、またよく分からない所に着地して、気付いたら予想もしていなかった場所にいた、というのが僕のらーめんと人生なんだなぁ、と。
京都で生まれ、ラグビーやらロックやら文学やら手当たり次第にやり散らかし、気付いたら金沢から湘南にたどり着き、横浜で修行を始め、アレヨアレヨと言う間に自分の店を持ち、なんやかんやしてるうちに大行列店になったと思ったら自己破産してまた石川県にいた、みたいなマンガみたいな人生とらーめん。
そのカオスさが僕なんだろうなぁ、とアホみたいに思ったわけです。
南大祐発アホ経由カオス着、みたいな。
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12月からの新作【真★淡麗金澤醤油らーめん EL★CORAZON(エル★コラソン)】かなり好評です。
そして好評過ぎて、また自分の思わない所に着地しました。
なんからーめん屋さんのブログっぽい?
ぽくないですよね。
こんな話。
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明日もあなたが優しくあります様に。
明日もあなたがあなたらしくあります様に。
LOVE & BEER!
そして
RAMEN & ROLL!!
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