
愛すべきアミーゴ〜金澤流麺物語 第189回
今日は一人の男を紹介させてください。
その男の名前は『葉花源吸』(はばなげんすい)。
彼との出会いは、2年近く前、僕が辻堂でギリギリの状態で居酒屋とらーめん屋を切り盛りしてた頃の話です。
その頃の僕は、様々な問題やストレスを抱えすぎてパンク寸前でした。
精神的に際どい状況で、この状況を脱出するために何もどうしていいのか?全くわからなくなっていた時期でした。
とにかく働く、そして居酒屋を客で一杯にして金を稼げば脱出出来るのか?などと考えていました。
その頃に葉花源吸(以下ゲンちゃん)がお客様として居酒屋に来てくれたのです。
オシャレなファッションセンスをしてたから、僕は「この人、テラスモール(辻堂にある大型ショッピングモール)のアパレル関係の人かな?」と最初は思っていました。
とにかくお客様をつけたい!と考えていた僕は、「もしこの人がテラスモールで働いている人なら、リピーターになってもらいたい!」という思いから話しかけました。
すると彼は「仕事の都合でたまたま辻堂に来ただけ」「山形から来た」との事でした。
ならば辻堂での思い出の1つになってもらいたい、と気持ちよく過ごしてもらえるように、と気を使っていたら同い年である事がわかり、そしてお互いに音楽が好きだという事も共通して一気に仲良くなりました。
ゲンちゃんは辻堂に出張で来ていた3日間、毎日自分の居酒屋に通ってくれて、気がついたらお互いを『ゲンちゃん』『大ちゃん』と呼び合い、いつの間にか敬語ではなくてお互いにフランクな話し方になっていました。
その話の中で、「山形で音楽活動をしている」「今も現役でラップをやっている」という事が解りました。
その言い方が少し控えめだったので、僕は趣味程度でのんびりと音楽活動をしているのかな?なんて思っていたのですが、その後ドンドンと入ってくる葉花源吸の活動情報を知るにつれて、彼の存在感は山形県内ではハンパなく影響力のある人物だったんだと知らされました。
山形のヒップホップシーンの大御所で顔役の様な存在。
そしてヒップホップシーンに留まらず、その存在感のある独特の節回しを活かして山形のプロバスケットチームや3on3イベントでの司会やMC、様々なイベントのMCなどを務めている事も解りました。
彼がラッパーとして凄いから僕たちは仲良くなったわけじゃなくて、そんな肩書きなんて知らないうちからお互いにどこかシンパシーみたいなものを感じていたのかな?
僕はゲンちゃんの事を知れば知るほど、「・・・凄いやつやったんや・・・」と解っていきました。
ゲンちゃんは僕みたいなミソッカスのどこに興味を持ってくれたのかな(笑)
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金澤流麺らーめん南のグランドオープンがもう間近に迫っていたとある日の夜中。
僕は試作で徹夜をしていました。
その時、携帯にメールが届きました。
送り主はゲンちゃん。
そこには開店を祝う言葉と共に、「この曲を開店祝いに大ちゃんに捧げる」と、当時まだ未発表だった『群雄割拠』という楽曲が送られてきました。
この曲は日本全国47都道府県から選抜された47人のラッパーの曲を繋いだコンピレーションアルバムに収められる予定の曲で、まだそのアルバムは発売されてなかったから僕に聴かせたら本当はヤバかったんだ。
でもゲンちゃんは「大ちゃんに捧げる」って送ってくれたんだ。
僕は深夜の店内で携帯をBluetoothのスピーカーに繋いで、作業をしながらその楽曲を聴くことにした。
重くてタメを効かせたビートに、勇ましいサンプリングが重なる。
どこかそれはロッキーのテーマでも思わせる様な、正に『戦う前のアンセム』といった迫力のあるトラックだった。
そこに突然ゲンちゃんの声が響く。
『時は平成28年!』
その野太くて存在感のある声は、スピーカーからゲンちゃんの姿が立ち上る様な錯覚を僕に与えた。
ゲンちゃんは心もデカいけど、体もデカくて。
179センチある僕よりも断然背は高いし、ガタイもデカい。
そんなゲンちゃんの立ち姿がスピーカーから浮かび上がって、『お前はやれんのか?』と僕に問いただしてる様な気持ちになったんだ。
その咆哮にも似たフロウに僕は『絶対にやってやる!』と心が熱くなった。
その『群雄割拠』が収められたCDが、金沢の、タワーレコードで働く友人からやっと届きました。
でも、ゲンちゃんがバツグンにカッコいい。
群を抜いて存在感がある。
僕、車で『群雄割拠』ばっかしリピートしちゃってるもん(笑)
コンピレーションだから、2分くらいで終わっちゃうんです。
もっと聴きたいよ!!
ゲンちゃんは今、単独音源の準備をしてるんだって。
震えて待つしかないよね。
ゲンちゃんはこのエピソードをブログで書くことを許可してくれたけど、ゲンちゃんに迷惑がかからなかったらいいな。
ゲンちゃんと知り合ってから、山形がめちゃくちゃ魅力的な県なんだって解った。
今、日本各地行きたいとこが山ほどあるけど、山形も必ず行くから。
その時は山形の美味しいもの、空気、風土、文化、そしてストリートの事を教えてくれよな、ゲンちゃん。
金沢と山形、離れてたっていつも身近に感じれるし、いつも勇気をもらえる。
ほんまありがとう。
心から。
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明日もあなたが優しくありますように。
明日もあなたがあなたらしくありますように。
LOVE & BEER!
そして、らーめん♪
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