
水へのこだわり~金澤流麺物語 第127回
海辺の町で暮らしていた最後の9年は、
毎日が不安との戦いでした。
「自分はきっと成人病の何かで死ぬだろうな」
とずっと思っていました。
その不安がサプリメントの大量摂取という
傍目からみたら異様な方法に進んでいました。
朝の9時から店に入り、
仕事が終わるのが朝の5時。
睡眠時間も休息も何もかもが乱れた毎日の中、
僕のストレス発散方法は暴飲暴食でした。
仕事を終えてすぐに寝ればいいのですが、
一日のどこかで
「今日も終わった」
と気持ちの面で区切りをつけたかったのです。
その結果、白米ばかりを塩だけで異常な量を食べたり、
あと4時間後には仕事を始めなくてはいけない、
という時間にも関わらずビールを何倍も飲んだり、
どう考えても体をお粗末に扱っていました。
その頃には精神状態は明らかに
歪んだ角度へ傾き始めていました。
・
剛に出資をしてもらう事が決まった時に
剛が僕に言いました。
「もう苦労を重ねて苦労を呼び込む様な
ドMみたいな生き方は辞めてくれ」
「これからはちゃんと寝てくれ」
「人間らしく生きてくれ」
自分の生き方を見つめ直して、
丁寧に健康的に生きる。
そう思うと自然とらーめんも
出来る限り丁寧で健康を考えた物を
作りたいと思いました。
僕の「スッキリしたらーめんを作りたい」
という思いに剛は賛同してくれました。
そして「水には拘りたい」というと
それにも賛同してくれました。
剛はもう10年も以上も前から
自分の生活で使う水はずっと拘ってきました。
剛はずっと「南ほど拘りの強い男が
なぜ水に拘らないんだ?」
と僕に疑問を持っていたのです。
僕も当時の会社でいい水を店に使いたいと
会社にプレゼンをした事がありましたが、
「それはお前のただのエゴだ」
と一蹴されていたので、
それ以上会社と戦えなくなっていたのです。
だから『水に拘りたい』
という思いはずっと封印してきました。
・
その思いをやっと解禁出来る日が来たのです。
・
僕は再出発をすると決めてから、
親友のモトイに
ブイヨンの水は素材によって使い分けるのか?
等を教え貰ったり浄水器の資料を集めたりと
個人で出来る勉強を始めました。
そんな中で剛が提案してくれたのが、
このアイテムでした。
以下、次回に続きます。
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