
金沢見聞録第2回
なるべく自分の休みの日は
らーめんを食べに行くように
している。
食べるだけではなく、
その店の周辺を歩いてみて
立地のヒントになる様な
物を探そうとしている。
知り合った人にお気入りの
店や今話題の店などを聞いたり
している。
まだそうした活動の期間が短いせいか、
今のところはボヤっとしたイメージしか
掴めていない。
その中で感じた事を記しておく。
1.これが金沢、という物がない。
「金沢はラーメン屋が多いでしょう」
「金沢はラーメン屋が増えたでしょう」
「金沢の人はラーメンが好きです」
と言う言葉は良く聞くが、おかしな言い方だが
金沢はまだまだ『らーめん民度』が低いと感じる。
僕が15年住んだ神奈川県は、『家系』という
揺るぎない安定感のあるご当地らーめんと、
現在主流の煮干し等を使った魚介系中華そば、
さらにそこから自己流に進化しらーめんとが
あり、お客様もラーメン屋に求めるものが高い。
らーめんはひとつの文化となっている。
石川県ではらーめんは、まだまだ
『手っとり早く食べれる食事』の
域は超えていない。
しかし僕はそこに悲観は持っていない。
むしろ、神奈川よりも自由に取り組めるのでは
ないだろうか?
自分の中で『金沢らーめん』を作り上げて
名乗る事が可能ではないか?と考えている。
2.全体的に塩っ辛い味付けの店が多い
「こってりしたらーめんが好き」と
答える人が多いように思われる。
しかしその『こってり』の感覚は、
『スープの濃度』
『スープのコク』
よりも
『味付けの濃さ』
に頼っている店が多く感じる。
『こってり』の概念がまだあやふや
なのかも知れない。
その中で、象徴的な2店舗を今日は紹介したい。
豚三(横川)
見た目は家系に近い。
実際家系をベースにしているのだと思う。
金沢ではランチタイムはお待ちが出ると
評判の店だ。
僕は平日の14時前位に行ったが、少し待った。
安定した集客があるようだ。
カウンター飲み11席で、スタッフは3人。
醤油と塩味が選べる。
後はトッピングメニューと餃子くらいの
らーめん専門店だ。
基本は太麺だが、替え玉は細麺で出される。
一口目、スープをすすって驚いたのは、
味の濃さ。
それは旨みや濃度を指すのではなく、
醤油が異様にきつい。
横浜家系なら
『味濃い目』
と頼まないと出てこない
味ではないだろうか?
テーブルに魚粉が置いてある。
自由に入れていいみたいだ。
そこで僕は思い立って麺を先に
全部食べてしまい、替え玉を頼んだ。
替え玉を入れると当然スープは
薄くなる。
イメージ通り、その薄さでちょうど
いい味の濃さになった。
そこで魚粉を大匙1ほど入れてみると、
とても調和の取れたらーめんになった。
つまり、この店は今までと同じスープ、
同じ麺、同じタレで、バランスさえ
整えたらもっと美味しくなる。
僕としては非常にもったいなく
残念に思うが、もしかしたら
これが金沢の求める味なのかも
知れない。
そう思うと少し複雑な思いになる。
ラーメン一鶴(いちかく、野々市市高橋町)
このあたりは学生街で、
飲食店が固まっている地域だ。
この写真のらーめんは
『えびさん豚骨らーめん』
との事で、豚骨にエビの風味を
効かせているとの事で大いに
期待をしていた。
しかし出てきたらーめんは豚三と
同じような醤油の異様にきつい
らーめんに2種類の干しエビが
載っているだけだった。
完成度が異様に低い。
小手先でどうにか個性を
だそうとしている感じがした。
この辺りは金沢以外から出てきた
学生がメインなので、安い、とか、
多い、とかが求められる事の様な
気がする。
こうした地域だと二郎系が出てきたら
出てきたら流行るのではないだろうか?
自分の直感は、この地域で流行る店を
作るイメージは沸いてこなかった。
どうしても辛口な意見を書いてしまう
事が多いと思う。
ただ、店を出す上であまりにも
地域やそもそものラーメン店に
迎合する様な考え方や、
単純な多店賛歌は危険だ。
冷静な第三者的な視点を
持たないと自分もぶれるし芯のある
店は作れないと思う。
ただ他店のあらさがしを
しているわけでは
ない事はわかっていてほしい。
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